第3戦 1-1 レポート

 

KINAN AACA CUP3 戦は雨乞竜己が優勝

KINAN Cycling Team 優位の展開で上位を独占

KINAN AACA CUP201731-1 クラス 102km(5.1km × 22 周回) 

 

東海地方で開催されるロードレースシリーズ「KINAN AACA CUP」の第 3 戦が 311 日、国営木曽三川公園 長良川サービスセンター前特設コースで実施された。メインカテ ゴリーの 1-1 クラス(102km5.1km × 20 周回)では、スプリントを制した雨乞竜己が 今シーズン初勝利。2 月に行われた第 2 戦での野中竜馬に続き、KINAN Cycling Team が 2 連勝を飾った。なお、野中と中西健児がそれぞれ 2 位と 3 位でフィニッシュ。KINAN 勢 が上位を独占した 

 

毎月 1 回のペースで開催されるシリーズ戦の 3 戦目は、すでにシーズンインしている選 手と、今年の初戦が間近に迫っている選手とが集まり、ハイレベルのレースが予想された。 シリーズを支える『株式会社キナン』がメインスポンサーを務める KINAN Cycling Team は、今戦もホストとして日本人フルメンバーとなる 7 選手を送り込んだ。 

 

この日の長良川サービスセンターは強い北風の影響で、周回前半が向かい風、後半が追 い風のコンディション。正午にスタートが切られてからしばらくは、プロトン全体がこの 風に悪戦苦闘する様子が見受けられた。 

逃げを狙ってのアタックによって、数人単位のグループが形成されかけるが、いずれも成功とはならず。力のある選手の飛び出しが決まり、レースの流れがいったん落ち着きを 見せたのは 3 周回目。蠣崎優仁選手(伊豆総合高校/ EQADS)、水野貴行選手(Interpro Cycling Academy)、筧五郎選手(56 サイクル)、KINAN からは椿が加わり、4 人の逃げ グループが形成された。その後は順調にメイン集団とのタイム差を広げて、約 120 秒 のリードとした 。

 

しかし、中盤に入ってそれぞれの思惑も関係してか、逃げる 4 人のローテーションが乱 れ始める。10 周回目に設けられた周回賞を蠣崎選手が獲得すべくペースを上げたタイミ ングを利用して、椿がアタック。蠣崎選手も食らいつこうと試みるが、追い風区間でリズ ムが合わなかったことも関係し、11 周回目からは椿の独走へと変わった。 

 

椿が単独先頭となってからは、メイン集団が一度は迫って 40 秒差としたが、風を味方 につけたことも幸いし、椿が自ら 1 分差に広げてみせる。一方で、さすがに逃げ切りを許 したくない集団では、次々とアタックに転じる選手が現れ始めた。そのケアに動くのは、 椿を前方に送り出している KINAN 勢。周回を追うごとにタイム差は縮小しているが、急 激な変化とはならない。展開次第では、椿の逃げ切りの可能性も出てきた。 

 

だが、レース終盤に入って横風へと変化したことで、椿の足取りも重たくなってきた。 歯を食いしばって逃げ続けたが、ラスト 3 周回となったところでメイン集団がキャッチ。 土壇場で勝負は振り出しへと戻った。 

 

再びアタックの応酬となったプロトン。残り 2 周回を迎えて飛び出したのは、阿曽。し ばらくは独走だったが、ラスト 1 周回の鐘が鳴ったところで、チームメートの中島が合流。 さらには野中ら 2 選手も加わり、先頭は KINAN3 人と数的優位な状況へと持ち込んだ。 残り 1km を切って阿曽と中島がメイン集団へと戻されるが、先頭 2 人は依然数秒のリー ド。そして、残り 500m を切ったところで野中がアタック。これに合わせる形で、追いか けるメイン集団からも数人が追い上げを図る。 

 

野中が先頭のまま、最後の直線へ。上り基調で、フィニッシュライン手前はわずかなカ ーブとなっている。ここで猛然と迫ったのは雨乞だ。フィニッシュまで数メートルのとこ ろで雨乞が差し切り、トップでフィニッシュ。すぐに勝利を確信し、両拳を握りしめた。

逃げ切りまであと一歩だった野中は 2 位、雨乞とともにメイン集団から追い上げた中西 が3位。2017年シリーズ3戦目にして、ホストであるKINAN Cycling Teamが上位を独占した。 

最後はチームメート同士での優勝争いとなったが、メンバーが増え、チーム内競争が激 しさを見せる KINAN Cycling Team の現在を象徴するレースになったといえそうだ。序 盤から中盤にかけては椿が逃げ続け、同時にメイン集団では他チームの動きをしっかりとチェック、終盤には阿曽、中島、野中がアタックを決め、最後は雨乞のスプリントと、終 始 KINAN 勢が優位に展開したレースでもあった。翌週に開幕する国内最高峰のシリーズ 戦「J プロツアー」、そしてその先に控える UCI(国際自転車競技連合)アジアツアー、 同ヨーロッパツアーに向けて各選手が順調な仕上がりを見せていることを印象付けた。 

 

1 戦ごとにレベルの高まりを見せる「KINAN AACA CUP」。今後も、逃げやアタック から勝負が大きく動くような、アグレッシブなレースが期待される。次戦は 429 日(土 ・祝)、今回と同じく国営木曽三川公園 長良川サービスセンター前特設コースにて行われる。 

 

2017 KINAN AACA CUP31-1 クラス(102km5.1km × 20 周回)結果

1 雨乞竜己(KINAN Cycling Team)
2 野中竜馬(KINAN Cycling Team)
3 中西健児(KINAN Cycling Team)

4 中村龍太郎(イナーメ信濃山形)

5 福田真平 

 

2017 KINAN AACA CUP ポイントランキング(第 3 戦終了時)

1 トム・ボシス(フランス、Interpro Cycling Academy) 768pts

1 野中竜馬(KINAN Cycling Team) 768pts
3
雨乞竜己(KINAN Cycling Team) 544pts

4 椿大志(KINAN Cycling Team) 256pts
5
中西健児(KINAN Cycling Team) 128pts
5
山本雅道(シエルヴォ奈良 MIYATA-MERIDA サイクリングチーム) 128pts

5 鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 128pts 

 

■ユニーク講座、KINAN 選手によるプレゼンター、スポンサーブース...アクティビティ 満載のレース会場

KINAN AACA CUPの魅力は、レース内外にわたるさまざまなアクティビティ。選手1 人ひとりのスキルに応じたレースカテゴリー設定もさることながら、ビギナーから上級者 まで幅広く参加が可能な講座、その場でアドバイスが受けられるスポンサー各社のブース、 さらには、KINAN Cycling Team の選手がサプライズ登場するポディウムなど、その楽 しみはレースだけにとどまらない。 

毎回恒例の「レーススキルアップ講座」には、愛知県一宮市の『中島通整骨院』若山敦資院長を招いての特別篇が行われた。身体バランスをテーマに、左右どちらも同じ力をペ

 

ダルに加えられるよう、日々のストレッチから見直していくことを指導。自宅で簡単に取 り組めるような内容を紹介し、器具に頼らずとも自分の体だけで効率的・効果的な調整ができることを呼びかけた。 

 

コース脇に設置されるブースでは、WAKO'S(株式会社和光ケミカル)さまがチェーン 汚れや、自転車とオイルの関係などを参加者にアドバイス。バイクメンテナンスも大好評 で、今回も早い時間帯に受付が終了した。また、BUCYO COFFEE さまと CLT さまによるコラボブースも出展。温かいコーヒーやパスタはもちろん、プロテインがその場で飲め るとあって、選手がレース前後に行列を成して栄養補給に努めた。 

 

また、1-2 カテゴリー優勝選手には、副賞として福井県越前市の銘菓「羽二重の街」が 贈られた。同市のふるさと大使を中島康晴が務めている縁から、今回の出品が実現。プレゼンターには中島が登場。今戦の最後を飾った同カテゴリーのポディウムに、これ以上ない色 合いをもたらした。 

 

■キッズ限定イベント、TT アマチュア日本一決定戦の実施が決定

429 日(土・祝)に行われる第 4では、メインレースの 1-1 カテゴリースタート 前に、小学生限定のオープニングランが行われる予定だ。KINAN Cycling Team の選手 と一緒に、ショートコースをサイクリング。参加の条件は、レース当日の午前 1145 分 にスタート地点近くの招集ポイントに集まるだけ。小学生以上で、自転車とヘルメット、 手袋を持参すれば、誰でも参加が可能だ。 

 

続く 57 日(日)開催の第 5 戦では、「日本アマチュアグランプリ個人タイムトライアル」と称して、非公式ながらアマチュア選手の TT 日本一を決める戦いが行われること となった。優勝者には、KINAN AACA CUP2017 年シリーズで着用ができるチャンピオ ンジャージを贈呈。プロチーム所属(プロ契約含む)ではないことが参加の条件となる。

距離は 20km で、エリート男子のほか、35 歳以上、40 歳以上、45 歳以上、50 歳以上、55 歳以上、エリート女子とカテゴリーが設けられる。また、チーム TT も同日に実施され、 こちらは 2 ~ 4 人編成での出場を条件としてエリート男女のレースが行われる。