KINAN AACA CUP 第 4 戦は落雷のためレース打ち切り
ノーリザルトも積極的な姿勢が光るレースに
● KINAN AACA CUP2017 第 4 戦 1-1 クラス 102km(5.1km × 20 周回)
東海地方を転戦するロードレースシリーズ「KINAN AACA CUP」の2017年シーズン 第 4 戦が、4 月 29 日に国営木曽三川公園 長良川サービスセンター前特設コースで行われ た。メインカテゴリーの 1-1 クラス(102km、5.1km × 20 周回)は、レース終盤に襲っ た落雷により打ち切りに。フィニッシュを目前とするタイミングではあったが、選手たち の安全と、目まぐるしく変化する天候への対応を重視する形をとった。
この日の会場周辺の天気は午後から雨の予報。一方で、午前は晴れ模様だったこともあ り、ひとまずは予定通りプログラムを進行することとなった。迎えた 1-1 クラスは正午に スタート。この段階でも青空が広がり、暖かい日差しが選手たちを照らしていた。
シリーズを支える『株式会社キナン』がメインスポンサーを務める KINAN Cycling Team からは、山本元喜、椿大志、阿曽圭佑、中西健児、野中竜馬、雨乞竜己、中島康晴の日本 人フルメンバー 7 選手が出走。ホストチームとして、力のあるところを見せるべくスター トラインについた。
長良川沿いのコースはおおむね平坦。南北に往復するルートは、ときに風向きがレース 展開に変化を及ぼすが、スタートしてしばらくは穏やか。2 周回目には 7 人が飛び出し、 メイン集団からさらに数人が合流を試みるが、しばらくして前を行くメンバーを容認する
格好となった。
やがて逃げメンバーも 6 人に。入部正太朗選手(シマノレーシング)、中村龍太郎選手 (イナーメ信濃山形)に、インタープロサイクリングアカデミーから水野恭兵選手と吉田 悠人選手、そして KINAN からは野中と中島が入り、レースをリード。メイン集団は東京 ヴェントスが主だってコントロール。40 秒から 45 秒の差で推移したが、中盤に入る頃に は 1 分以上の開きとなった。
レース中盤、メイン集団では逃げグループとのタイムの開きを嫌う選手たちがアタック を試みる。椿の飛び出しをきっかけに数人が続き、これに山本、さらにはシリーズリーダ ーのトム・ボシス選手(インタープロサイクリングアカデミー)が加わり、5 人の追走グ ループが形成される。この頃には逃げは 1 人脱落し、5 人となる。前後での勢いの差は明 らかで、追走メンバーが前を行く 5 人に追いつくと見られた。
その状況で山本が再びアタックし、独走を狙う。これは上手くいかなかったが、代わっ て椿がカウンターアタック。ほかの追走メンバーはメイン集団へと戻され、椿だけが前方 をうかがう。ペースが落ちたメイン集団の一方で、逃げグループへ椿が合流しブリッジに 成功。しかし、タイミングをほぼ同じくして、逃げメンバーがペースアップし、脚のある メンバーだけが生き残る格好となった。
一時は 40 秒差となった逃げとメイン集団とのタイム差だったが、終盤を迎えて再び 1 分差となり、逃げ切りが濃厚な状勢となった。優勝を争うのは、入部選手、中村選手、そ して KINAN の野中と中島。序盤から逃げていたインタープロ勢と途中合流の椿は遅れ、4 人による勝負となった。最終局面を意識して進んだ 4 人だったが、ここで天候が急変。厚 い雲が立ち込め、雷鳴が轟いた。
この段階で、主催者と審判団との協議により、レースの一時中止を判断。選手をコース 外へと送り、天候の回復を待ったが、風雨が強まったためレースの打ち切りが決まった。 その後のレースプログラムも含めて、すべて実施しないこととなった。
そのため、好勝負が繰り広げられていた 1-1 クラスはノーリザルトに。選手や関係者、 観戦に訪れていたファンの安全性を第一とした決定が下された。
思わぬ形で終わってしまった第 4 戦だが、次戦が 5 月 7 日に行われるとあって、今回不 完全燃焼となった選手たちにとっては仕切り直しの意味合いもありそうだ。なお、第 5 戦 は「日本アマチュアグランプリ個人タイムトライアル」と称して、非公式ながらアマチュ ア選手の TT 日本一を決める戦いが行われる。20km で争われ、優勝者には KINAN AACA CUP2017 年シリーズで着用ができるチャンピオンジャージが贈呈される。また、2 ~ 4 人編成によるチーム TT も実施され、いつもとは趣きの異なる KINAN AACA CUP に大きな盛り上がりが期待される。
■実践的な内容の講座とキッズ限定イベント
KINAN AACA CUP毎回恒例となっている「レーススキルアップ講座」は今回、「風対 策」として横風が強い場合の走り方をテーマとして行った。実際に隊列を組み、風向きに 対しての動きを確認。特にこの日は天候の悪化が予想されていただけに、参加者は真剣な 姿勢で講師を務めた KINAN Cycling Team の選手たちによる説明に耳を傾けた。
また、1-1 クラスカテゴリーのスタート前には、キッズ限定のオープニングランが行わ れた。実際にレースで使用されるコースを用いて、KINAN Cycling Team の選手と一緒 にサイクリング。なかには、プロライダー顔負けのアタックを繰り出すちびっこライダー も現れ、その姿に選手たちもたじたじ。自転車とヘルメット、グローブの持参のみで気兼 ねなく参加できたとあって、子供たちにも、そして記念撮影や応援に講じたママやパパに とっても素敵な記念となったに違いない。
text&photo:Syunsuke FUKUMITSU
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